透き通った青い空。
黄金色に実った稲穂がきらきらと揺れる山形県高畠町。
有機農業の里として知られるこの町に
「おきたま興農舎」という生産者団体があります。
総勢約90名の生産者さんが、
ただ「売る」ために作物を栽培するのではなく、
自分や家族が「食べたい」と思える安心でおいしい作物を
約二十年間真剣に育て続けています。
一番のこだわりは「農薬」の種類と回数。
果物の中で最も手間がかかるといわれるりんごは
本来ならば沢山の農薬が必要ですが、
昔ながらの木酢液や、
効き目が弱くても安全だと判断できる厳選された農薬のみを
必要な時にだけ使います。
りんごの木を一本一本見て回り、
病気になっていないか、虫に食べられていないかの確認も
決して欠かしません。
実は、農薬の回数を減らしすぎたせいで
収穫ができなかった事もあるんだとか。
それでも、ただひたすら自分たちが納得できるりんごを育て続けているんです。
「ここまで農薬を減らしてりんごを育てるには、
絶対に良いものを作りたいっていう気持ちなんだよね。
じゃなきゃ、こんなりんごは作れないよ。」
と、生産者さんの農薬や栽培方法の相談役・スタッフの柳山さんも熱く語ります。
もちろん「おいしさ」の工夫も欠かしません。
本来、りんごは大きくて色づきの良いものほど高く売れるため、
化学肥料で大きくしたり、
早い段階からりんごの周りの葉を取って色づきを良くするのが一般的。
ですが、おきたま興農舎ではおいしさを重視しているため、
化学肥料は一切使わずに
有機肥料のみを使ってりんごの木が欲する養分だけを与え、
りんご全体が熟すのを待ってから葉を取ります。
そのため見た目はデパートの高級フルーツとは違い、色づきも大きさも自然。
そこがまた食欲をそそります。
「こうした方がおいしいんだよ。
でもこれを普通の市場に出したら、
味よりも見た目で判断されて本当に安く評価されちゃうんだ。」
と話す生産者さん。
雪深い冬の朝、
重い雪をかき分けて畑に通い、
りんごの木に積もった雪を落としたり、
春に一斉に咲くりんごの花芽の良し悪しを見分けながら摘んで歩いたり。
厳しい自然条件の中、
一年かけて一つ一つ手塩にかけて育てあげた安心でおいしいりんご。
もいだばかりのりんごをガブっと皮ごとその場で食べてみると、
噛むたびにジュワジュワと、
奥深い酸味と爽やかな自然の甘みが口いっぱいに一気に広がりました。
「ごっくん。」
あまりのおいしさに思わず二個目に手を伸ばすと、
「おいしい?あら嬉しい」と、生産者さんの一人、77歳になる本田さんが
満面のにっこり笑顔。
「何十年も気持ちを変えずにひたすら努力して、
良いものを作り続けるなんて本当にすごい人たちだなぁと思うよ。」
と柳山さん。
確かに、このりんごはただのりんごじゃない。
何十年もの間、大切に大切に雪や病気からりんごの木を守りぬき、
安心でおいしいりんごを育てるための努力や工夫を積み重ねてきた
作り手の「作品」なんだと感じました。
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